不動産エージェントみつかる

この案件は、沖縄の不動産会社の社長さんから、友人がお嬢さんが東京の学校へ進学するので、東京に引っ越すことは決まっているのだけど悩みが多いので話を聞いてほしいということから始まったプロジェクトです。

お客様のI様はご主人が亡くなってしまい、ご実家のある沖縄にお嬢様と住んでいました。

東京には昔住んでいた戸建てがあり、相続して今は誰も住んでいない。世田谷区の閑静な住宅街に大きな敷地で、お話を伺ったときには、ハウスメーカーで１階を賃貸にして２階に２人で住める空間にしたらどうかとの提案もありました。
賃貸にすれば家賃が入るからよいと思うかもしれませんが、その分建築コストもかかります。しかも駅から徒歩１５分という場所で、２階に大家さんが住む賃貸は入居者にとって魅力的にも思えません。
双方が気を使って生活しなければならず、２世帯のような住宅は将来的に売却するときもいい条件にはならないでしょう。
私は賃貸はオススメできませんでした。

東京に住むのは決まっているものの、その土地に住む必要もあるのか？という思いもありました。
お嬢さんが将来結婚して出ていってしまうかもしれません。その土地は売ってしまって、別にマンションでも買ってもいいのか。など方向性が決まらず悩んでいました。

まずその場所に住む必要があるのかです。

他に住みたいエリアもない。
その土地にはいい思い出も悪い思い出もある。
結局、亡きご主人が残してくれた土地を売るということはしたくないという結論にいたり、その場所で家を建てることになりました。

次に予算と広さです。敷地は181㎡　建築できる述べ床面積は144㎡です。
母子2人暮らしではそこまで広くなくても良い。
お嬢さんが将来結婚しても同居するとも限りませんし、結婚しないかもしれません。面積を大きくすればその分コストがかかります。

そう考えていくとなかなかプランが決まりません。
そこで将来お嬢さんが結婚した場合にお母さんの部屋を増築することのできるプランを作ろうと提案しました。
母娘なので、キッチンと洗面などは一緒でもよいはず。お母さんの部屋にも小さなキッチンがつけられるよう増築できる面積は少し大きめなワンルームサイズにしました。

洗面所からの勝手口が増築したときに通用口で、車椅子になっても介護用の車が入るような駐車場スペースも考えたプランです。

まだお若いのにもう介護？なんて笑いながらのプランでしたが、I様が大変その提案に満足してくださいました。

将来的に増築する予定の場所には2階のバルコニーを作りました。予め屋根ができているので壁を作れば増築できるように考えたのともう一つ大きなコンセプトがありました。

敷地の割には家が小さいため、庭となる部分が大きくなります。I様は草木は手入れが大変なので欲しくないと言われました。土はコンクリートを打てばよいですが、外には出ないのですか？と聞けば、外にはでないけど空が見える窓がほしいと。

その土地には古屋がありました。I様が昔住んでいたとき、2階からいつも空をみていたとおっしゃいました。生まれ育った沖縄の空を思い出し、亡くなったご主人様との思い出が詰まった空なんだろうな・・と。

だからその空が見える大きなバルコニーが作りたかったのです。私が・・（笑）

上棟してフレームができて、そのバルコニーから空を見た時、I様が嬉しそうに、「そうこの空」と仰ってくだって・。
このプランで本当によかった！と思いました。

プランニング、設計。施工会社の選択、仕様決め、クロス、カーテンにまで首を突っ込んでしまった。プロデュースとなりました。

世田谷区祖師ヶ谷大蔵
敷地181.91㎡
建物104.42 ㎡
新築一戸建て

3000万円